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知能設計コース 鈴木宏正研 卒論テーマ 2008

研究室の研究分野

本研究室では、3次元のモデリング技術を中心に研究しています。コンピュータの中に、形や空間の3次元情報を表現し処理しようとするものです。コンピュータグラフィックスの主要な1分野となっています。欧米の研究では、コンピュータアニメーションへの応用が盛んですが、本研究室では最近は、デザインや生産などのモノづくり分野への志向しており、最近の流行語でいえばデジタルエンジニアリングという分野に相当します。

特に、設計や製造の知的生産活動を支援する情報システム(CAD、CAMなど)のための、3次元形状や空間に関するモデリング方法や計算アルゴリズムについて研究を行って います。具体的なテーマについては、研究トピックスを見てください。

研究の方法は、下記のような課題に対して、基礎的な知識や先行研究を調査し、課題を解決する理論や手法をあみ出して、それに基づいたソフトウェアを実装して実験することになります。本研究室の特徴の一つは、先行研究調査をしっかりとやるところにあります。英語の文献を読みこなす能力を付けて欲しいと思っています。また、研究ためのエネルギーと時間 の大半は、ソフトウェア開発に費やされることになりますが、理論・アルゴリズムをしっかりとつくり、さらに、実際に意味のある実験ができる程度のプロトタイプソフトを作成することを目標としています。

また、学外との共同研究として、製造業、情報産業の企業、さらには異分野として人類学との共同研究を行っています。これらは、我々の研究にとっては「フィールド」で研究テーマの宝庫でもあり、また研究の社会的意義を確認する上でも重要です。また、研究のための研究にならないためのカウンターバランスでもあります。

研究室の場所

  • 本研究室は、駒場リサーチキャンパスの先端科学技術研究センターにあります。本郷からはちょっと遠いのですが、慣れてしまえば、とても良い環境です。

その他

  • 本分野では、数理的な知識と情報処理やプログラミングの基礎知識が要求されますが、それぞれ導入的な教育や、院生によるサポート体制は用意しますので、今の段階で自信のない人でも大丈夫です。
  • 本分野において自分で是非やってみたいというテーマがあれば、相談の上、それをテーマとすることもできます。
  • 見学・相談は大歓迎です。メール等でアポイントをとってください。

領域プロジェクト&卒業論文のテーマ

テーマ1 X線CT画像による設計システムの基礎研究

最近、産業用X線CTの普及が加速しています。図1は最先端の産業用X線CTによって撮影したV6エンジンのシリンダヘッドのCT画像です。

このような部品は、ダイキャスト法という鋳造法によって作られるために内部に小さい空洞(巣)が発生してしまいます。これを非破壊検査するためにX線CTは利用されてきました。

しかし最近は、人が画像を見て検査をするという目的よりも、X線CTで取られた画像から、設計や製造の様々な問題解決に応用することに期待が高まっています。

本研究では、最先端のX線CT装置で撮像されたボリューム画像を用いて、それを設計支援に利用するための画像処理技術、モデリング技術について研究を行います。例えば図2は、X線CTの画像から、そのdistance fieldというものを計算したものです。これによって、製品の肉厚のようなものを評価することが出来ますし、さらには、図3のように部品の中央を構成する面(中立面)を計算するなど様々な特徴解析が可能になります。

なお、CT画像は、3次元画像ですので、好きな方向から眺めて、このように立体的に表示をすることができます。これをvolume renderingといいます。

本研究の究極の目的としては、自動車や家電品などをそのままスキャンして、その全体のCADモデルを完全自動生成する「丸ごとスキャンシステム」を目指しています。そのためには様々な課題を解決する必要があります。例えば複数の材質から構成されている部品の材質を分離する問題、またケーブルなどの線と薄板部分そしてソリッドな塊部分をセグメント分離する問題、さらにはそれらからCADモデルを生成する問題です。また一般に工業製品のボリューム画像は大規模化するので、そのための並列計算やout of core処理も必須となります。

このプロジェクトは、前述のように様々な課題が存在し、一部は研究室で研究を進めている部分もあります(もちろん、解決されている訳ではありません)ので、まずは3次元グラフィックスやボリュームモデリングに関して基礎的な勉強を進めつつ、課題の全体に対して理解を行います。そして、それらの課題の中から興味が沸いたものについて、その解決策の考案と計算機実験を行います。また、研究の遂行の過程で、基本的なコンピュータグラフィックや離散幾何学の知識とC++プログラミングスキルが身に付きます。なお、このプロジェクトは大竹研究室と連携して行います。

プロジェクト・卒論開催場所:駒場第2キャンパス 先端研4号館3階303号室 マップ

プロジェクト・卒論計画:

4〜5月:CGプログラミングの基礎の学習
6〜7月:先行研究調査およびプロトタイプによる検証.初期プレゼンテーション。
9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション。
1月〜2月:実データによる実験.論文執筆.最終プレゼンテーション。

図2 自動車のシリンダーヘッドのCT画像

図2 自動車のトランスミッションケースのCT画像から計算した distance field (距離場)

図3 部品モデルの例

図4 丸ごとスキャンシステム

テーマ2 表面計測データによる形状品質評価法に関する基礎研究

工業製品などの物体の表面形状を高速に計測するサーフェススキャナーが高性能化してきています。

その応用としては、部品の表面計測データからCADモデルを自動生成する問題が一般的です。図1は、自動車のスタイルデザインにおいて、デザイナが作成したクレイモデル(粘土で作るモックアップ)を計測した点群で、図2はその点群から生成したサーフェスモデルです。

ところが、最近、スキャナーの精度がさらに向上することによって、数10ミクロン程度の計測が可能になってきています。これに伴って、部品の形状品質の評価に利用できる目処が立ってきました。

例えば自動車のボディは、鉄板をプレス加工によって曲げて作りますが、形状に不具合としての変形や歪みが生じることがあります。従来光学的評価によってこれらの歪みを検出することは出来ていたのですが、評価の範囲は非常に限定的でした。図3は、スキャンデータによって曲率を評価した例ですが、このような簡単な評価によっても顕著な不具合を見つけることができます。しかし、より微妙な不具合については、より高度な評価手法でないと検出することはできません。

本研究ではスキャナーによって表面形状を数値化し、その数値データによって、より複雑な変形や歪みを、定量的に解析する手法を開発することを目的とします。

まず形状の不具合について整理分析するところからはじめます。プレス部品を製造している自動車部品メーカーの協力を得て、実際の不具合部品のサンプルを計測し、計測データベースを作成します。次に、そのいくつかの分類の各典型例について、形状解析を実施し、その不具合を最も良く表現する形状特徴を抽出します。例えば、微小な歪みであれば、その周辺で形状の曲率が変化しているはずですし、もう少し大きな歪みであれば、それを表す特徴を探索することになります。手法としては、微分幾何学的な手法や、フーリエ解析などの周波数領域での解析が候補となります。
これらの理論やアルゴリズムを構築すると共に、その計算機実験を行います。また、研究の遂行の過程で、基本的なコンピュータグラフィックスや幾何学の知識とC++プログラミングスキルが身に付きます。なお、このプロジェクトは大竹研究室と連携して行います。

プロジェクト・卒論開催場所:駒場第2キャンパス 先端研4号館3階303号室 マップ

駒場第2キャンパス 先端研4号館3階303号室
4〜5月:CGプログラミングの基礎と不具合サンプルの解析
6〜7月:不具合の分類と解析方法の創案.初期プレゼンテーション。
9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション。
1月〜2月:実データによる実験.論文執筆.最終プレゼンテーション。



図1 スキャン点群

図2 サーフェスモデル

図3 曲率分布図

(Last Updated on 23-Jan-2007)